すぎなみ耕援事務所通信(2025.10)

すぎなみ耕援事務所代表 社会保険労務士・行政書士 堂前智徳 166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-36-16 第57東京ビル2F-10 HP:https://koen-sr.tokyo PDF・紙をお求めの場合は、e-mail:admin@koen-sr.tokyoへお問合せください。無料で提供します。
令和7年も早いもので10月になりました。最低賃金など法改正等に関し、ご確認はお済みですか?
おしごとカレンダー
10/1●改正育児介護休業法施行(育児期の柔軟な働き方を実現するための措置等 他)
10/10●9月分の源泉所得税、住民税特別徴収税の納付
10/31●9月分健康保険料・厚生年金保険料の納付●労働者死傷病報告書の提出(休業4日未満の7~9月分の労災事故について)●労働保険料の納付(延納第2期分)
今後の主な法改正等
2025年度下半期 | 2026年度上半期 | 2026年度下半期 | 2027年度上半期 |
最低賃金改定 育児介護休業法改正完了 雇用保険法改正 行政書士法改正 | 女性活躍推進法改正 安衛法仕事治療両立高年者労災防止努力 子ども子育て支援金健康保険料徴収開始 | 労基法改正第1弾? 障害者雇用率拡大 労働施策法カスハラ就活ハラ義務化 日本版DBS法施行 | 労基法改正第2弾? 労働安全衛生法ストレスチェック拡大 育成就労法(現・技能実習法)改正 |
暑さが収まり心地よい季節となりましたが、冒頭びっくりな内容、これでも一部にすぎません。皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。すぎなみ耕援事務所の堂前です。
多くの企業で10月以降、新しい最低賃金が適用され、年末調整の準備も始まるなど、人事労務ご担当者様にとっては慌ただしい時期に入るかと存じます。今月はすぐご確認いただけるよう「お金」に関する情報と、「健康」を守るための経営に関する大切な情報をお届けします。
①.最重要 東京都の最低賃金は1,226円に 給与の見直しと「業務改善助成金」の活用
≫ご案内のとおり、令和7年度の地域別最低賃金が全国で出揃い、東京都では10月3日より「1,226円」となりました。全国加重平均も1,121円と、過去最大の引き上げ幅です。
月給制の従業員の方も、時給換算で最低賃金を下回る「最賃割れ」が懸念されます。いま一度、給与体系のご確認をお願いいたします。
≫この大幅な引き上げに対応する中小企業を支援するため、政府は「業務改善助成金」を拡充しました。事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資を行う際にも、その費用の一部を助成するものです。
≫賃金引上げという「守り」の対応と、設備投資による「攻め」の経営改善を両立させる、非常に使い勝手の良い制度です。ご不安な点やご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
②.健康経営 従業員の健康診断、「受けさせて終わり」になっていませんか?
≫9月は「職場の健康診断実施強化月間」でした。健康診断は、法律で定められた事業者の義務ですが、その後の「事後措置」も重要です。
「結果の通知と保存」健診結果は従業員へ通知し、事業者はその記録を保存する必要があります。
「医師からの意見聴取」所見のある従業員については、医師から就業上の措置に関する意見を聴くことが義務付けられています。
「就業上の措置」医師の意見をふまえ、必要に応じて作業転換や労働時間短縮などの措置を講じます。労働者数50人未満の事業場では、地域産業保健センターが、健診結果についての医師からの意見聴取などを無料でサポートしてくれますので、ぜひご活用ください。
≫従業員の健康を守ることは、企業の持続的な成長に不可欠です。経済産業省「健康経営優良法人」や厚生労働省「安全衛生優良企業」などの認定は、企業の社会的評価を高める上でも有効です。
健康経営優良法人認定制度について
特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定する顕彰制度です。
本制度では、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門を設けています。
「健康経営優良法人」に認定されると、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となる他、自治体や金融機関においてさまざまなインセンティブが受けられます。
詳細は健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト「ACTION!健康経営外部リンク」をご確認ください。
③.年末調整 令和7年分の準備、そろそろ始めましょう
≫国税庁より「令和7年分 年末調整のしかた」が公表されました。今年の年末調整では、基礎控除の見直しなどに注意が必要です。
また、人事院勧告を受け、自動車通勤の方の通勤手当の非課税限度額が引き上げられ、令和7年4月に遡って適用される可能性があります。
その場合、年末調整での対応が必要になることも考えられますので、今後の動向に注意が必要です。
≫「年末調整がよくわかるページ」も10月に公開されましたが、今後年末までの動向次第で情報が新たになれば、改めてお伝えいたします。季節の変わり目、皆様どうぞご自愛ください。
番外.法改正は目白押しです
特に、カスタマーハラスメント防止と子ども子育て関連(育介法改正・子ども子育て支援金徴収)の対応は優先すべき事項です。
≫育児介護休業法改正は施行済ですが、実質を伴う対応が重要です。就業規則や育児介護休業規程の変更に留まりません。
また、児童手当増額の財源となる子ども子育て支援金(月@500円前後?)が、来年4月から健康保険料に上乗せ徴収され、最低賃金対応のみでは手取り減少となります。
≫ハラスメントとメンタルヘルスは軌を一にします。労働施策総合推進法等改正に伴うカスハラ・就活ハラの防止と労働安全衛生法改正に伴うストレスチェックの50人未満企業への拡大は別々に対応すべきでなく、共通課題たる相談体制の強化ひいては休離職防止に重要な経営課題です。
以上は中長期に社会保険労務士等専門家従事を要する場合があります。お気軽にご相談ください。