好む好まないを超えて-「育成就労法」成立しました
先週、重要な法案が成立しました。「育成就労法」の制度で、技能実習の悪評を引きずる等は別にして、好む好まざるにかかわらず、外国人雇用は避けて通れなくなると考えています。コンビニエンスストアの例を出すまでもなく、毎日彼らと接しており、経営も成り立つ構造なのです。
育成就労で外国人材確保 改正法成立、技能実習に代わりhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA128YA0S4A610C2000000/
日本経済新聞 2024年6月14日
注)人材を「人財」と言い換える箇所があります。
育成就労法案とは
先日、衝撃的な出生率を掲載しました。https://koen-sr.tokyo/childrenfirst/ 2040年までに1200万人(≒東京都人口分)の生産年齢人口が減少、各産業分野が生産性向上や国内人財確保に最大限努力しても我が国の労働力不足は深刻化して、外国人財が貴重な労働力となってきます。他方、深刻な労働環境・賃金不払・人身取引が人権問題化して国際的な批判も放置できません。
改正法概要(育成就労制度/厚労省)https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001231483.pdf
技能実習から育成就労制度創設へ
「人材育成を通じた技能移転による国際貢献」とする技能実習制度の目的が、長年「経済社会の担い手、企業等の貴重な労働力」であった運用実態を発展解消し、人財確保及び人財育成を目的に『育成就労法(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律)』を創設する育成就労制度と改められます。
長期にわたり産業を支える人財へ
特定技能1号水準の人財を育成する制度に
*特定技能1号は特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験が必要な技能を要する業務に従事する外国人向け在留資格(日本語有・家族不可・受入機関有)、特定技能2号は特定産業分野に属する熟練技能を要する業務に従事する外国人向け在留資格(日本語無・家族可・受入機関外)
- 原則3年間の就労を通じ、特定技能1号水準の人財を育成
- 受入対象分野は、特定産業分野と原則一致
- 従事可能な業務範囲を、特定技能の「業務区分」や関連業務に拡大(主たる技能を定め育成・評価)
受入見込数を適切に設定
人手不足の状況等を適切に把握し、有識者等からなる会議体の意見を踏まえ、受入対象分野、受入見込数等を適切に設定
外国人が地域に根付き、共生できる制度に
- 日本語能力の向上方策を講じる
- 地域協議会を組織、地方公共団体も参画した受入環境整備に取り組み地域定着を図る
外国人に魅力のある制度で「選ばれる国」へ
キャリアアップの道筋を明確化
- 分野や業務の連続性強化により、特定技能の移行を見据えたキャリアアップが容易に
- 前職等に縛られないキャリア形成を可能に
- 業所管省庁によるキャリア形成プラン策定
労働者としての権利性の向上
- 「やむを得ない事情がある場合」の転籍範囲を拡大・明確化するとともに手続柔軟化
- 3年間一つの受入機関就労が効果的で望ましくも同一業務区分内で本人意向転籍容認
・同一機関での就労が1~2年(分野ごとに設定)を超えている
1年を目指しつつ、1年超の場合、昇給その他待遇の向上等を図る仕組みを検討
・技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験への合格
・転籍先が、適切と認められる一定の要件を満たす
関係機関の要件等を適正化
- 受入機関や監理支援機関の要件を適正化し、適切な受入・育成を実現
- 原則として二国間取決め(MOC)作成国からのみ受入、悪質な送出機関を排除、送出手数料の透明化等により負担を軽減
- 外国人技能実習機構を「外国人育成就労機構」に改組、特定技能外国人への相談援助業務も行わせ、支援・保護機能等を強化
ブローカー対策を適切に
- 転籍仲介状況の把握や、不法就労助長罪の法定刑の引上げによりブローカーを排除
- 当分の間、民間職業紹介事業者の関与は認めない
受入機関における人財流出等への懸念にも配慮
- 転籍の際、転籍前の受入機関が負担した初期費用等について、正当な補塡の履行
- 分野別協議会による過度の引抜き防止のための取組を促進
今後の見通しなど
2027年度から施行を目指すも、性急な成立のため制度運用を誤らないよう周知が必要です。永住許可制度の適正化たる許可取消(故意の税・社保料滞納等)は、日本人さえしかねません。
当方の考え
現在、人的資本経営として、情報開示に取り組む企業も多いですが、この外国人雇用、障害者雇用、高齢者雇用、氷河期世代含め、DEIともなる企業価値を高める流れと私は考えています。